窓の記憶
過去に見た記憶の中の映像を、実際に目の当たりにした時の驚きといったら。「記憶」って凄い。 映画の中で出会ったワンコに、ベルギーで再会した時の写真を。  Bruges, Belgium )

アンソニー・ドーアの「メモリー・ウォール」読了。収録されている6つの短編はいずれも「記憶」にまつわるお話です。読んでいる間、ふっと自分の懐かしい記憶と向き合うことが数回。今もまだ、読後の余韻にふわふわと浸っています。

ドーア作品の登場人物たちは、決して目立つことのない、どちらかというと弱い立場にある人々。しかしドーアは彼らを「弱き者」として憐れむべき対象として描いているのではなく、しっかり地に足をつけて人生に向き合っている人々として描いていることがわかります。私がドーア作品を好きな理由は、そこにあるのかも。

移民たち、認知症の老女と余命わずかな少年、職を失いながら懸命に息子を育てようとするシングルファーザー、ダムに沈む中国の寒村に住む女性、不妊治療中の夫婦、両親が他界し祖父の住む異国に戻された米国少女、迫害されたユダヤの少女たち・・・。一見弱々しい存在にしか見えない彼らは、なんと誠実に自分達の人生を歩んでいくことか!


(ブルージュのリバー・クルーズに参加していた時、「あれ?この風景、どこかで見たことがある!?」と気づいてビックリ。数年前に見た映画「ヒットマンズ・レクイエム(主演はコリン・ファレル)」中で一瞬出てきた窓ワンコでした。ほんの一瞬の登場なのに、しっかり記憶の片隅に残っていたなんて。そしてそれをちゃんとレトリーブできるなんて。記憶のシステムって本当に不思議。with LeicaM9

特に最後の「来世」。これまで「ナチスによるユダヤ人迫害モノ」は散々読んできたので、今更感もあってあまり期待してなかったのですが。こんな描き方もあるのか!・・・と。

翻訳者岩本正恵さんとの相性はもう奇跡ですよね。本当に見事な化学反応。これがもう見られないかと思うと悲しくてたまりません。

実は「すべての見えない光」も既に購入しているのですが、翻訳者が別の方なので、まだ読む勇気がありません。もう少ししてから読んでみます。

さらに。ドーア新作「Cloud Cuckoo Land」は、原作で読むか翻訳で読むか、まだ迷っています。どうしようかなあ〜。とりあえず、エッセイ集「Four Seasons in Rome」を先に注文してしまいました。